※本ブログ記事は2016年12月5日に配信したメルマガを掲載したものです。



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では、本題の前に1つの話題を。


社長が会長や相談役になり、第一線から退くことを

「分掌変更」といいますが、これに伴う役員退職金が問題になることも

あります。


また、私が節税セミナーの中でこれを解説すると、

質疑応答でもご質問がよく出るのがこの項目です。


しかし、一般的な税理士のアドバイスは

〇 会長就任後の出社頻度は週1~2回、不定時にしましょう

〇 会長就任後の給与は社長時代の1/2以下にしましょう

〇 経営に関わらないようにしましょう

などの「アドバイスしかされていない」ことがよくあります。


ただし、このアドバイスだけでは足りませんね・・・。


実際に

〇 月3~4回の出社

〇 役員報酬は社長退任時の1/3

にしたにも関わらず、否認されている事例もあります。 


では、どういう提案が足りないのか?


それは

「具体的に、税務調査ではどのような資料、状況が問題とされるのか?」

という部分です。


ここが「網羅的に」アドバイスされているケースは

「非常に」少ないですね。


そこで、以前に「税理士を対象として」

このテーマだけを取り上げたセミナーを開催しました。


本セミナーは「50以上の分掌変更が問題になった事例」を検証し、

〇 納税者が勝った事例とその理由

〇 納税者が負けた事例とその理由

を解説しているものです。


そして、

〇 実際の税務調査ではどういうことが問題になるのか?

〇 否認回避のために何を「網羅的に」提案すべきか?

ということを「過去の実例」を通して解説しているものです。


このDVDが下記ですので、是非、ご覧頂けばと思います。


なお、税理士を対象にしたセミナーですが、

購入資格を制限するものではありませんので、どなたでもご購入頂けます。   


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では、今日の1分セミナーは

「社会保険料削減スキームと役員退職金の適正額」を解説します。


社会保険料を削減するため、老齢年金の受給額を増加させるために、

〇 毎月の役員報酬を「かなり」低額にする

→ 「定期同額給与」と言います。

〇 役員賞与を高額に設定し、事前に税務署に届け出る(損金になる)

→ 「事前確定届出給与」と言います。

というスキームがあります。


たとえば、

〇 役員報酬は月額10万円

〇 夏と冬に役員賞与は1、000万円ずつ

というようなものです。


これに関して、「税務上はOKか?」ということが言われますが、

税理士の業界紙の「週刊 税務通信」に下記記事があります(一部削除)。 


〇 2014年6月9日(3314号)

見田村注:この記事を書かれた国税OB税理士の成松洋一先生は

国税庁の要職に就いていらっしゃった方です。

なお、役員報酬の月額10万円、役員賞与1、080万円という前提です。


したがって、理論的には、仮に社長に支給する各事業年度中の給与総額は

変わらないとしても、賞与(事前確定届出給与)だけで過大かどうかが

議論の俎上に載ることがあり得るものと考えられます。


ただ、実務的には、過大給与かどうかは、月々の報酬の支給状況や

年間の給与総額などを勘案して判定することになりましょうから、

1、080万円の賞与が直ちに問題になるとはいえません。


もちろん、仮に1、080万円の賞与だけが問題になるとしても、

それが過大ではないといえればよいわけです。


同業類似法人の役員賞与の支給状況などに照らし、その金額の妥当性、

合理性を説明するための検討をしておくのもよいでしょう。


〇 2014年9月22日(3328号)

過大役員給与の判定は、定期同額給与や事前確定届出給与の種類ごとに

行うのではなく総額で行うこととされ、また、このような社会保険料対策に

伴う支給形態の変更であっても、税務上においては問題とされない模様だ。


見田村注:「問題とされない模様」と表記されていることから、

取材等に基づくものと思われ、具体的な通達等がある訳ではありません。


これらの記事は「毎期の役員給与の過大額」に関する記事であり、

このスキームを皆さんがどう思われるかは別ですが、

私はこのスキームをお奨めしていません。


なぜなら、毎期の役員給与はともかくとして、

役員退職金の税務上の適正額に影響が出る可能性があるからです。


皆さんもご存知の通り、役員退職金の計算は

「最終報酬月額×在任年数×功績倍率」で計算されることが一般的です。


では、社会保険料削減スキームにより、

役員報酬月額が「かなり」低額になっている場合はどう考えるのか?


「結果としての年収を12で割ったものを月額相当額にしてもOKか?」

というご質問も受けることがあります。


確かに、会社法361条では「取締役の報酬、賞与」は

「職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益」

と定義されていますから、「1つの考え方」としてはあり得ます。


しかし、税務上において、その判断が示された事例は

私が探した範囲ではありませんでした。 


過去の裁決、判決に非常に詳しい税理士にも探してもらいましたが、

見つかりませんでした。 


ただし、役員賞与を事前に届け出はしたものの、

実際に支払われなかった事例はあります。


平成27年6月23日の国税不服審判所の裁決です。


この事例では役員賞与として720万円を届け出て「は」いました。


納税者は役員退職金の適正額を判断するに当たり、

この720万円も含めて判断すべきと主張しました。


しかし、国税不服審判所は下記と判断して、納税者の主張を

認めませんでした。


1、最終報酬月額は、通常は退職した役員の在職期間中における報酬の

  最高額を示すものである。


2、退職の直前に大幅に引き下げられたなどの特段の事情がある場合を

  除き、退職した役員の在職期間中における法人に対する功績の程度を

  最もよく反映している。


3、事前に届け出た720万円は支払われていない。


4、納税者の主張は認められない。


もちろん、720万円が支払われていれば、

結果は変わった「可能性」はゼロではありません。


しかし、「最終報酬【月額】が役員の功績を反映している」というのは、

過去の裁決、判決の「一貫した考え方」です。


もちろん、今後の税務訴訟などにおいて新しい考え方が

示される「可能性」もゼロではありません。


ただし、少なくとも現時点においては、最終報酬月額を前提とした

功績倍率による役員退職金の計算を前提とするならば、

社会保険料削減スキームは「リスクがある方法」と言わざるを得ません。


先日、ある方がこれを推奨している社会保険労務士に質問したら、

「年収を12で割ったものを月額に当てはめて計算してもOK」と

回答されたそうです・・・。


ただし、これは上記の通りに「一理は」ありますが、現時点においては、

「リスクのある考え方」と言わざるを得ないのです。


年齢に関係なく、人間はいつ事故等により他界するかは分かりません。


そう思うと、年齢に関係なく、功績倍率による役員退職金の計算を

前提とするならば、「ある程度の役員報酬の月額を支払うべき」と

なるのです。


皆さんはこの点を覚えておいて頂ければと思います。


以下、参考資料として、税理士の方のために、

上記の「週刊 税務通信」の2記事をもう少し詳しく掲載します。


〇 2014年6月9日(3314号)

5 次に問題は、過大給与かどうかは、役員に支給したその事業年度中の

給与の総額を基準に判定するのか、それとも定期同額給与、事前確定

届出給与および利益連動給与ごとに判定するのかどうかです。


この点、過大給与かどうかは、各事業年度において役員に対して支給した

給与の額が、その役員の職務に対する対価として相当であるかどうかを

基準に判定します(法令70一イ)。


法令の規定を形式的にみれば、単に「各事業年度において役員に対して

支給した給与の額が」というだけで、定期同額給与と事前確定届出給与とを

区分して過大かどうかの判定を行うことにはなっていません。


その限りでは、定期同額給与と事前確定届出給与との内訳は問題ではなく、

その事業年度に支給した給与の総額こそが問題であるということになります。


これは、会社法で報酬と賞与は区分する必要なく、職務執行の対価として

支給額を定めることができるとする(同法361)趣旨に沿うものと

いえましょう。


そうしますと、ご質問の場合には、年額1,200万円の給与総額が

過大であるかどうかを判定すればよく、賞与1,080万円のみの

過大性は問題にならないことになります。


6 しかし一方で、法令上、各事業年度におけるその役員に対して

支給した給与の総額を基準に過大かどうかを判定する旨の明文の規定も

ありません。


むしろ「役員に対して支給した給与の額が」と規定されている以上、

賞与(事前確定届出給与)も給与の1つですから、賞与の額だけで

過大かどうかを判定するという考え方があり得るでしょう。


過大給与は、その役員の職務の内容、その法人の収益およびその使用人に

対する給与の支給状況、同業類似法人の役員給与の支給状況等に照らし、

その役員の職務に対する対価として相当であるかどうかを判定します。


賞与は役員に対する経営成績等に応じたボーナスですから、

職務に対する対価として相当であるかどうかを、特に問題にすべき

であると考えられます。


法人が赤字であるような場合は、尚更でしょう。


また、他の役員や従業員には賞与の支給がないという点も、

社長だけに賞与を支給することの説得力に欠けるかもしれません。


7 したがって、理論的には、仮に社長に支給する各事業年度中の

給与総額は変わらないとしても、賞与(事前確定届出給与)だけで

過大かどうかが議論の俎上に載ることがあり得るものと考えられます。


ただ、実務的には、過大給与かどうかは、月々の報酬の支給状況や

年間の給与総額などを勘案して判定することになりましょうから、

1,080万円の賞与が直ちに問題になるとはいえません。


もちろん、仮に1,080万円の賞与だけが問題になるとしても、

それが過大ではないといえればよいわけです。


同業類似法人の役員賞与の支給状況などに照らし、その金額の妥当性、

合理性を説明するための検討をしておくのもよいでしょう。


〇 2014年9月22日(3328号)

一部の法人で行われている役員給与の支給形態の変更は、

社会保険料の支払額の節約や老齢年金の受給額を増加させることを

目的としたもの(NO.3314)。


役員給与の支給総額を変更しないまま、月額報酬を減少させ、

その一方で減少額相当分を賞与として支給することとしているようだ。


過大役員給与の判定は、定期同額給与や事前確定届出給与の種類ごとに

行うのではなく総額で行うこととされ、また、このような社会保険料対策に

伴う支給形態の変更であっても、税務上においては問題とされない模様だ。


例えば、前年度まで「月額報酬100万円、年2回の賞与について

各100万円」を支給していた者について、当年度から「月額報酬30万円、

年1回の賞与で1,040万円」と支給形態を変更したとしても、

総額1,400万円で不相当に高額な部分があるかどうかの判定を

行うこととなる



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 ■編集後記(見田村)


先週の生保営業支援塾が終わり、

新規でセミナー内容を構築しなければならないものは今年はありません。


ほっとしました~。


年内のセミナーは過去のコンテンツをリメイクしたものを

解説するものが3回あるだけです。


ほっとしました~(^^♪

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